大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)602号・昭45年(ワ)102号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕三、被告会社の責任

(一) 被告杉本満利男、同船木清治、原告各本人尋問の結果によれば、本件事故当日、被告会社が社外のグランドで社内のレクリエーションとして野球試合を催し、被告杉本もこれに参加したのであるが、同日の昼前頃から降雨となり試合が中止されたので、同被告は、同グランドに応援に来ていた原告ともう一人の女子社員および当日社長代理として同グランドに来ていた同社取締役の被告船木を同乗させて被告会社に帰る途中に本件事故を発生させたものであること、当日は建国記念日で会社は休日であつたが、原告は女子従業員の責任者より野球の応援に行くように指示され、また、弁当も出るし、出勤扱いにするとのことであつたため、他の女子従業員と共に被告杉本運転の②車に同乗して被告会社よりグランドに赴き、前記のようにその帰途に本件事故に遇つたものであること、右の野球試合に参加する者および応援に行く者は、当日、会社に集合して、四ないし五台の車に分乗してグランドへ行つたが、その内少くとも三台は被告会社従業員個人保有の車であり、②車はその内の一台であつたこと、なお被告会社の保有する自動車は当時一台であつたこと、被告杉本は②車をもつぱら会社への通勤に使用していたが、時には被告会社の雑用にも使用したことがあつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。これによれば、本件事故時の②車の運転は、被告会社社内のレクリエーションの野球試合のため、被告杉本自身がこれに参加するためのみならず応援に参加する会社の従業員を運搬するためにもなされたものであり、しかも、右の野球試合は、原告ら女子従業員が被告会社より応援に参加するよう指示を受けていたり、参加すれば出勤扱いにするとの取扱いがなされていたことなど、被告会社あげての行事であり、また、被告会社保有の車以外の従業員個人保有の車が、右の野球試合に参加応援する者を運搬するために使用されることを被告会社において当然に予定しこれを認容していたものと認められるので、そうならば、②車の本件事故当時の運転が被告会社の狭義の業務の執行それ自体ではなく、また②車が杉本個人の保有車で被告会社のそれではなかつたけれども、同車の運転は被告会社の業務と重要な関連性があり、客観的、外形的にみれば、被告会社の支配権の及び得る範囲内にあつたものと認められる。そうならば、本件事故は被告会社の業務を執行するにつき生じたものと認めるを妨げない。

(二) しかして、前掲被告杉本満利男、同船木清治各本人尋問の結果によれば、被告杉本は本件事故現場交差点を東より北へ右折しようとし、先行車に続いて信号機青の表示に従つて交差点の中央付近まで進出して一旦停車したのであるが、西より東へ直進し同交差点へ接近する訴外久米運転の①車を約五〇メートル西方に認めたけれども、同車よりも先に右折しおえるものと軽信して同車の動静に十分注意せずに慢然と発進し右折を開始したため、道路中央線を約二メートル北側に進行した地点付近で折から東進して来た①車の前部と②車の左後部とが接触し、これにより②車の後部座席にいた原告が受傷するに至つたものである事実が認められるので、以上によれば、本件事故は、交差点を右折する際、対面より直進する車の動静に十分注視していなかつた被告杉本と、前方をよく注視していなかつた訴外久米との、双方の過失によつて発生したものと認めるのが相当である。

(三) 以上によれば、被告会社は被告会社の被用者である被告杉本が被告会社の業務を執行するにつき運転上の過失によつて本件事故を発生させたものであるから、民法第七一五条により本件事故により生じた損害を賠償する責任がある。(吉崎直弥)

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